MAKERS―21世紀の産業革​命が始まる に出てくる企業をまとめてみた(一部)

MAKERS―21世紀の産業革​命

米誌「ワイアード」「元」編集長でベストセラー『ロングテール』『フリー』で知られるクリス・アンダーソンの著作。
2012年11月、彼は長年務めたWIREDの編集長を辞任し、3Dロボティクスという自らが立ち上げた無人飛行機制作会社のCEOに専念すると発表した。
そんな彼が描く未来のモノづくりとは。

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

読んだ感想は、すげー楽しそう。
内容は

  • 技術が進歩し、個人が簡単にしかも安価に少量のモノづくりをビジネスとして行える基盤が整っている。
  • 今までは、発明家は起業家になりえなかったが、これからは発明家が起業家になる時代なのだ。
  • 大企業が作れないスキマ商品を個人が作ることで、世の中がもっと素晴らしくなる。
  • そしてアメリカがChinaから製造業の雇用を取り戻す方法がこれなんだよ。
  • モノづくりを個人のもとへ、そしてアメリカのもとに取り戻す時が来たのだ、諸君。

ということが書いてあるわけなのだが、なにせ本人がその渦中のまっただ中にいるわけで興奮がビンビン伝わってくる。

この本で取り上げられた企業を以下にほんの一部だけあげてみた。

第1章 発明革命

Yコンビネーターが投資してきたベンチャー企業 p.14, 15

この6年のあいだに、Yコンビネーターは300社に資金を提供してきた。
例えばループト[Loopt]、ウーフー[Wufoo]、ゾブニ[Xobni]、ヘロク[Heroku]、ヘイザップ[Heyzap]、そしてバンプ[Bump]といったベンチャーだ。
驚くべきことに、その中の数社(ドロップボックス[Dropbox]やエアビーアンドビー[Airbnb])には、いまや数十億ドルの企業価値がある。
僕の務めるコンデストも、その内の一社を買収した。
それが月に20億ページビューを超えるサイト、レディット[reddit]で、三代目となる経営チームは20代そこそこの切れ者たちだ。

Yコンビネーター
2005年にポール・グレアムらが立ち上げたスタートアップ企業向けのベンチャーキャピタル。投資金額が少額であり、外部からの資金調達を可能にすべくコンサルティングを行うのが特徴。

ループト [Loopt]
モバイル向け位置情報サービスを提供。グルーポンと組んでクーポンサービスも行なっている。
近くにいる「友人」がマップ上に表示され「繋がる」ことができるらしい。
これ「友人」が上司と部下とかだったらとても微妙な感じがしますね。
やはり、「友人」はよく選ばないと気まずいことになりそう。

ウーフー [Wufoo]
Web上でアンケートなどのフォームを簡単に作成できるサービスを提供。
これは便利そうなので個人的に覚えておこう。

ゾブニ [Xobnio]
Outlookやモバイル向けにメールのソーシャル化プラグイン/アプリケーションを提供。
連絡先に登録している人とユーザの関係をグラフィカルに表示してくれたりするらしい。
余計なお世話だって思ったりはしないのだろうか。
ビル・ゲイツがえらく気に入って2000万ドルで買収しようとしたけど、失敗したとwikipediに書いてあった。

ヘロク [Herokuo]
Webアプリ開発向けのクラウドプラットフォームを提供。
Railsアプリをつくる→ヘロクでデプロイするというのが、手っ取り早くウェブアプリを公開できる手法として日本でも広まってきている。

ヘイザップ [Heyzapo]
ソーシャルゲーム向けプラットフォームを提供。

バンプ [Bumpo]
スマートフォン向け連絡先交換アプリ「Bump」を提供。
端末同士をぶつけることで連絡先が交換できるというリア充御用達アプリ。

解説ページ
http://andronavi.com/2010/07/29996

ドロップボックス [Dropboxo]
ご存知ドロップボックス。
クラウド上にファイルをアップすることで、ファイルの共有や同期を可能にするサービスを提供。
この章で挙がっている企業の中で唯一サービスを知っていたのがこれ。
でも、会社名もDropboxってのは知らなかったぜ。

エアビーアンドビー [Airbnbo]
空いている部屋を一泊から貸し出せる、ルームシェアのホテル版みたいなサービスを提供しています。
実際に使ってみた方のレビューはこんな感じ。
知らない人の家に泊める、知らない人の家に泊まるってのは抵抗ありそうな感じなんだけど

日本人の感覚としては、見知らぬ他人を家に泊めるのは、どうしても抵抗がないでしょうか。
しかしこちらは、もともと家にゲスト用のベッドルームがあったり、学生のルームシェア
多かったり、留学生のホームステイを受け入れているお宅も多いですから、抵抗は低そうです。
http://mtl.recruit.co.jp/blog/2012/03/airbnb.html

なんだそうです。
ただやっぱりトラブルはつきもののようで
アパートをAirbnb経由で貸したら売春に利用された–たまたま警察の急襲で発覚
http://jp.techcrunch.com/archives/20120814police-bust-prostitues-using-airbnb-apartment-in-stockhom/
なんてことも起こっているようです。

Airbnbはこのところ、自分の成功の犠牲者だった。なにしろ、一日の貸し借り成約件数が60000件である。

ということを考えればこういうトラブルはごくごく一部なのかもしれないけど。

レディット [reddito]
オンラインコミュニティ。いわゆる2ちゃんねる的サービス。
誰かが投稿したリンクに対して議論したり投票したりできる。
有用なリンクは↑が投票され表示順序が上がり、注目度の低いリンクは↓が投票され表示順序が下がっていき最終的に表示されなくなる。
英語の勉強になるかも。

サイトのデザインが洗練されていないところに交換が持てる。
たぶん、スマホのアプリでみるといいのかな。

解説してあるページがあったのでこちらを参考に。
http://clavis.info/wiki/what_is_reddit

第2章 新産業革命

イカースペース、メイカーのための市場 p.28-30

コピー・印刷チェーンのキンコーズの元経営幹部が始め、キンコーズのようにどこでもだれでもが使えるような工房を目指しているテックショップ[TechShop]だ。
また、手作り品の職人(Makers)のためのウェブ市場、エッツィー[Etsy]の盛り上がりを考えてみてほしい。

テックショップ[TechShop]
そういえば、キンコーズ最近あまり見かけない気がしますね。

で、TechShopは個人向けにものづくりの工房スペースを提供している企業だ。
この形態の企業は増えているし、実際業績も伸びているようだ。
TechShopとは直接関係ないけど以下の記事が参考になった。

TechShopなどのMakerスペースがフルセットの高速プロトタイピングツールを提供したおかげで、ガレージを作業場にしていた人たちにできることが大きく広がり、Makerビジネスにはガレージにプラスしたスペースが与えられた。問題は広さだ。一部のMakerスペースは土地の確保で苦労をしている。たとえば、サンフランシスコのTechShopでは、資材などを保管できる50〜100平方フィートの「ケージ」(区画された倉庫スペース)が小数あるのだが、空きを待つ人が大勢いる。
中略
個々のMakerエリアは、テープで区画されているか、パーティションで区切られている。小さな区画は50平方フィート(約1.4坪)から、大きな区画は250平方フィート(約7坪)ある。ここでは、オートバイを組み立てている隣の区画でファッションデザイナーがモデルに布をあてがっていたり、生物学者が苔を栽培している隣で木工職人がボウルを彫っているなんていうことが珍しくない。あらゆるタイプのMakerがそこにいる。
Kickstarted - スペースの問題(とMakerスペースの作り方)
http://jp.makezine.com/blog/2012/11/kickstarted-finding-space-and-making-a-makerspace.html

なかなかカオスな光景ですね〜。
やっぱり、DIYの国アメリカなだけにMaker人口も多そう。

エッツィー[Etsy]
ここで出品できるものは手作りのものだけ、というこだわりサイト。

オープンハードウェア p.29

いまでは、数百万ドルの売上規模を持つオープンハードウェア企業が数多く存在する(僕の会社3Dロボティクス[3D Robotics]もそのうちの一社だ)。
中にはアルドゥイーノ[Arduino]のマイコンボードのように、数百万個以上も売れている製品もある。

3Dロボティクス[3D Robotics]
アルドゥイーノ[Arduino]

クラウドファインディングサイト p.29

何千というメイカーたちは、キックスターター[Kickstartar]をはじめとする「クラウドファンディング」サイトを通して、プロジェクトの資金を調達している。
2011年だけでも、キックスターター3Dプリンタを製造するオープンハードウェア会社のメイカーボット[MakerBot]、そして3D印刷サービスのシェイプウェイズ[Shapeways]にそれぞれ100万ドルを、さらに別のメイカー向けプラットフォーム、クァーキー[Quirky]には2300万ドルを投資している。

キックスターター[Kickstarter]
いわゆるクラウドファンディングサイト。
仕組みは、出資者が目標金額を設定し、期間までに目標金額を集められれば事業開始となる。
目標金額に届かなければ、そのお金は出資者のもとに返されてしまう。
というもの。
第10章メイカーズの資金調達にキックスターターで予想以上の資金を獲得するエピソードが語られている。

立ち上げから3年後の2012年5月までに、キックスターター上で47,000のプロジェクトがスタートし、そのうち4割を超えるプロジェクトに合計で1億7500万ドルの資金が寄せられた。
さらにその中の10,000プロジェクト以上が目標額を達成し、6000万ドルがクリエーターに渡されている。
第10章 p226

イカーボット[MakerBot]

イカーボットはもっともシンプルな3Dプリンタのひとつだ。
モーターは四個だけ。
X軸、Y軸、Z軸上を動かすモーターに加えて、四個目のモーターはABS樹脂を熱で溶かし、作業用トレーまで運ぶためのものだ。
イカーボットの外枠は、レーザーカッターで切った合板を合わせたもので、プラスチック製の歯車の一部は別のメイカーボットのプリンタで作られている。
内部の電子機器には、アルドゥイーノ基盤が使われている。

また、無駄にLEDがたくさん付いているのも、メイカーボットの特徴だ。
なぜかと聞かないでほしい。
イカーボットはただの道具ではないのだ。
それは遊びのためのもの。
革命的な作品。動く彫刻。政治的声明。
それは、どきどきするほどかっこいい。

第6章 変革のツール p122

イカーボットはこんな形。
どことなくなつかしい感じがする。

シェイプウェイズ[Shapeways]
後述するポノコと同様に、ユーザがデザインを描いたファイルをアップすれば、好きな素材で製品にしてくれるサービスを提供している。

イカーズ市場へ進出する大手企業 p.29

オートデスク[Autodesk]、PTC、3Dシステムズといった業界大手は、アマチュア向けや子供向けのデザインソフトを無料で公開し、消費者がアップロードしたデザインを3Dプリンタで出力するか、レーザーカッターで整形するサービス部門を立ち上げている。

オートデスク[Autodesk]
PTC
3Dシステムズ

デスクトップ上から製造ラインへ注文できるCADソフト p.38

ポノコ[Ponoko]のような企業は、すでにこのサービスをオンラインで提供し、デスクトップのツールとグローバルな製造ラインを結ぶウェブリンクの役割を果たしている。その行き着く先は、ユーザーが「作成」ボタンを押せば、なんでも作れるようになるプログラムだ。

ポノコ[Ponoko]
クリス・アンダーソンが顧問を務めているポノコはユーザファイルをアップすれば品物を受け取れるサービスを提供している。
CADさえ使えれば、モノづくりの機械はもたなくてもいいということだ。

未来がある

もちろんここで挙げた企業が10年後、いや5年後にすべて残っているわけがない。
事業をたたむものもあれば、他の企業に吸収されてしまうものもあるだろう。
しかし、クリス・アンダーソンが何度も繰り返している「アトムとビットの融合」を止めることは誰にもできない。
そこには確かに何かがある。
そしてわくわくする未来がある。
未来を予測する最善の方法は、それを実現することなのだ。
ここにはそんな自分たちの手で未来を作ろうとする預言者で満ち溢れている世界なのだ。

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

WIRED VOL.6 GQ JAPAN.2012年12月号増刊

WIRED VOL.6 GQ JAPAN.2012年12月号増刊